「きみのかわりはどこにもいない」ルカ15:1-7 中村吉基

詩編23;ルカによる福音書15:1-7

今日は「子ども祝福礼拝」です。
神さまがみんなを、そしてひとりひとりのいのちを大切にしてくださっていることをお祝いします。

これから読むお話は、『きみのかわりはどこにもいない』(メロディー・カールソン:著/ スティーブ・ビョークマン:イラスト/ 徳永大:翻訳/いのちのことば社)という絵本です。
主人公は、小さな羊と、その羊を守る羊飼い。
実はこのお話、さきほど読んでもらったイエスさまが語られた「見失った羊」のたとえ(ルカ15:1–7)と、とても似ています。

(絵本の朗読:中略)

今、みんなは、『きみのかわりはどこにもいない』というお話を聞きました。そこに出てくるのは、神さまに愛されている「小さな羊」です。
その羊は、やさしい羊飼いといつもいっしょにいて、とても安心していました。
でもある日、草を食べながら歩いているうちに、道にまよってしまうのです。
どこを見ても羊飼いがいない。ひとりぼっち。こわくて、さみしくて、どうしたらいいのか分かりません。みんなは迷子になったことあるかな。その時、どんなきもちがしたかな。ひとりぼっちでこわくて、さみしくて、どうしたらいいのか分からないというひとが多かったのではないかな。

さて、そのとき羊飼いさんはどうしたでしょうか。
「もう一匹ぐらい、いなくてもいいか」とは言いませんでした。
「ま、いいか」とは羊飼いさんは言わなかった。

羊飼いは、いなくなったその一匹を探しに出かけました。
山を越え、谷を越え、暗いところにも入って、
「ぼくの羊はどこだい?」「わたしのかわいい羊!」と呼びつづけます。
さっきの絵本では「ワンダー」という名前がついていましたね。羊飼いさんはワンダーの名前をいっしょうけんめいに呼びました。

そしてとうとう、泣いている小さな羊を見つけると、
羊飼いはその子を抱き上げて、やさしく言いました。
「もう大丈夫。きみのかわりはどこにもいないよ。」
私はこの絵本を読んでいて、ほほえましくなる場面がありました。
さきほどみんなに「迷子になったことはありますか」って訊ねました。
迷子になった時、あとから怒られなかったかな。注意されなかったかな。でもこの羊飼いさんはワンダーを見つけた時に大喜びで、喜んで、喜んで、お祝いのパーティーまでやったというんです。これは私たちの神さまにとっても似ています。神さまは私たちを大切に思っているから、私たちを見つけたときに怒るどころか、大喜びしてくださるんです。

イエスさまは、この羊飼いのお話を通して言いました。
「神さまも、ひとりひとりのことをそのように思っておられる」と。
たとえ世界に何十億人の人がいても、
神さまにとって、みんなはたったひとりの特別な存在なのです。
神さまはあなたを見つけるまであきらめません。とことん捜されるのです。
ずっとずっと捜しつづけます。
なぜなら、神さまにとって「みんなのかわりは、どこにもいない」からです。
この自分は世界にひとりしかいないんです。

今日の子ども祝福礼拝は、その神さまの思いをお祝いする日です。
おうちの人や教会の人たちは、みんなのいのちを神さまが守ってくださるようにと祈ります。
うれしいことがあっても、かなしいことがあっても、
神さまの愛は、いつもあなたといっしょにあります。
それは、羊飼いが小さな羊をだきしめたように、
神さまがあなたをだきしめてくださっている、ということです。

だから、どうか覚えていてください。
あなたは神さまにとって、とてもたいせつな存在です。
「きみのかわりは、どこにもいない」のです。

「きみのかわりはどこにもいない」 いのちのことば社