斉門岩之助の悔悛 (全五幕)
上演: 2007.4.8 (イースター)
キャスト
- 斉門岩之助(さいもん・いわのすけ:ペテロ・・・強い東北なまりで頑固者)
- 弥五郎(やごろう:ヤコブ・・・長身で高飛車)
- 与八(よはち:ヨハネ・・・小柄でお調子者)
- 石狩勇太郎(いしかり・ゆうたろう:ユダ・・・小太り、賢そう)
- 良庵先生(りょうあん:イェス・・・痩せている。 医者の風体)
- 他の弟子たち8人
- 追っ手数人
- 女中
- 中庭の侍 3、4人
第一幕: 良庵先生、岩之助の足を洗う
(*舞台上手より野太い話し声、なにやら論争している様子)
岩之助: 弥五郎殿、それは聞き捨てなんね、良庵先生の一番弟子(いヅばんでス)といえば、この斉門岩之助をおいて他にはあんめ? そのなヌより証拠に、わスは先生より、ほれこの通り極楽浄土の鍵をお預かりスておる。(*と懐から大ぶりの鍵をとりだしてみせびらかす)これごそ先生が、こン岩之助をいヅばん信頼しておられる証拠。(*強い東北なまり)
勇太郎: 何を言う岩之助。 信頼の証しと言うなら良庵先生のお財布をあずかり、金勘定すべてをお任せいただいているこの石狩勇太郎が一番じゃ。(*巾着を振ってじゃらじゃらと音をさせる)
与八: ふん、鍵や金貨がどれほどのもんけ? 先生は誰が何と言っても、この与八のことを、いちば~ん目を掛けてくださっておる。12人のなかで一番先生に愛されているのはこの俺じゃい。
(*弥五郎、刀の柄で与八の頭を小突く)
与八: いてっ、兄者、何を。
弥五郎: この自惚れもんが。 兄を差し置いて弟が一番を名乗ろうとは笑止千万。
(*一同舞台中央まで来て、下手に注目し、ぎくりとなって立ち止まる。 舞台下手にスポットがあたる。 そこには良庵先生が腰に手ぬぐいを差し、たらいの前にしゃがんで、にこにこ弟子たちを見ている)
与八: (*良庵の方を覗き込むようにかがみながら)良庵先生、いったい何を?
良庵: これから食事にするから。 疲れただろう。 わたしが足を洗ってあげるからそこに掛けなさい。
与八: えっ、いえ、そんな、とんでもない。(*と、あとずさりする)
良庵: いいんだよ。遠慮することはない。さぁ、ほら。
(*与八、戸惑いながらも腰掛けに座る。 良庵、その足を洗い、腰の手ぬぐいで拭く。与八、くすぐったそうに身をよじる。)
良庵: さあ、次は弥五郎、そこにお掛け。
(*弥五郎も良庵の気迫に押され、思わず言うとおりに従う。 しかし岩之助は舞台中央で熊のように右に左にうろうろ歩き回っている。 勇太郎はいつの間にか下手に退場して舞台にはもういない。)
良庵: 岩之助、岩之助。 次は君だよ。
(*岩之助、思わず良庵の前に正座・・・半身で体は客席の方を向いて)
岩之助: 先生、先生がそだらごとをなスるなんでとんでもごぜぇません。 それはスもべの仕事です。 どうかおやめくだせぇ。
良庵: 岩之助、私のしていることは今はわからないだろうが、そのうちわかるようになる。
岩之助: いんにゃ先生。 決して私の足なンど、洗わんで下せぇ。
良庵: そうか? いま私が君の足を洗わないと、君は私と何の関係もないことになるよ。
岩之助: えっ? そんな。 何の関係もねぇだなんて、そだら悲しいことをおっしゃらんでくだせぇ。 どうかどうか洗ってくだせぇ。 足だけでなぐ手ェも頭(あダま)も。
(*岩之助、ほとんど泣きそうになりながら頭をたらいの上に差し出す。良庵、その肩に手をやって岩之助を押し戻し・・・)
良庵: あなたはもう清いのだから、足だけ洗えばよい。だれでも清いわけではないがな。
(*暗転。 暗い中で良庵が岩之助の足をあらうシルエットだけがしばらく浮かび上がる。 溶暗)
第二幕: 食事の席
(*中央に良庵、その左右に弥五郎と与八、上手側に岩之助。食卓を囲むように客席側にも[客席に背を向けて]4、5人の弟子が着席、下手側で背を向けている弟子のうち、最も中央寄りに勇太郎。腰に巾着を下げている。 *皆がやがやと談笑)
弥五郎: 先生、今日はなんでまた皆の足など・・・
(*一同さっと静かになり、良庵の方へ顔を向ける)
良庵: 私のした事が分かるか? 君たちは私のことを「先生」と呼ぶ。 それは正しい。 確かに私は君たちの先生だ。 しかし今日、先生である私が君たちの足を洗ったのだから、これからは君たちもお互いに足を洗いあわなければいけないよ。私は手本を示したのだ。
(*一同とまどいながら顔を互いに見合わせる。 良庵それにはかまわず話を続ける)
良庵: これまで何度も本当に大変な事があったのに、君たちはいつでも私についてきてくれた。だから父が私に授けてくださった力を、君たちにもゆだねよう。これからは君たちを受けいれる人々は、私を受けいれることになるのだ。しかし、世の権力者たちのように、力で支配しようと考えてはいけない。 偉くなりたいと思うのなら、皆に仕えるものになりなさい。 一番上になりたいと思うのなら、すべての人のしもべになりなさい。
(*一同うなずく。 良庵、パンを裂いて祈り、弟子たちに手渡す。弟子たち、すこしずつちぎって回す)
良庵: これは君たちに渡される私の体だ。 私がいなくなっても、パンを食べるたびに思い出してほしい。 (*ぶどう酒の杯を手渡す)これは君たちのために流す私の血だ。これにより君たちは、父とあたらしい契約を結ぶことになる。 (*弟子たち、神妙に一口ずつ飲んでは杯を回す)
良庵: あぁ、だがこの中のひとりが、私を裏切ろうとしている。 (*言い終わると同時に、動揺が弟子たちの間に広がる。 隣と話をするもの、首を振る者、立ち上がる者がある)
与八: 先生、それは・・・いったい誰ですか?
良庵: 私と同じ鉢にパンを浸しているものがそれだ。
(*勇太郎が良庵と同じ鉢に手を伸ばしているが、すぐに引っ込め、良庵に背を向ける。 他の弟子たちは気づかない。)
良庵: 勇太郎、しようとしていることを、今するがよい。
(*勇太郎、食卓から立ち上がり、下手に走り去る。一同顔を見あわせる)
弥五郎: どした? 勇太郎の奴。
岩之助: ふん、おおがた買いわスれたもんでも思い出スたんでねが?
良庵: よく聞きなさい。 これからしばらくの間、君たちは私から離れることになる。 私の行くところに君たちはついてくることはできないが、私は君たちより先にガリラヤに行く。・・・そこで再び逢えるだろう。
与八: 先生、先生、どこに行こうとされているのですか。 私たちも皆ついてゆきます。
良庵: いや、君たちは散らされてしまう。だから今日、君たちに言葉をあげよう。
互いに愛し合いなさい。 私が君たちを愛したように、君たちも互いに愛し合いなさい。
良庵: (*雰囲気を変えるようにやや明るい声で) さあ。すこし外でも歩かないか。
(*その声にうながされて、弟子たちぞろぞろと上手へ退場してゆく。 岩之助と良庵が最後に残る。岩之助、おもいつめた様子)
良庵: (*岩之助の肩に手をやり)
岩之助。 あなたは立ち直ったら、みんなを力づけてあげてほしい。
岩之助: 先生、「立ち直ったら」ってどたらごとですか。 みんなが散らされでも、わしだけは絶対に先生を見捨てたりスねぇ。 先生のためなら、一緒に牢屋に入って殺されっごとになっでも本望でス。
良庵: 岩之助。私のために命を捨てると言っているのか? よく聞きなさい。 鶏が鳴く前に、今夜、あなたは3度、私を知らないというだろう。
(*岩之助、体を硬直させ正面を向いてたちつくす。 暗転)
第三幕: ゲッセマネ
(*良庵、上手から登場、先頭でゆっくり舞台中央へ歩く。その後ろに岩之助、弥五郎、与八がつづく)
良庵: 岩之助、弥五郎、与八。 ここで一緒に祈っていてほしい。
(*良庵、3人を中央へ残しさらに舞台奥のほうへ進みひざまずいて祈る。3人はやがて居眠りを始める。 舞台奥でもだえ祈る良庵。)
(*良庵、一旦戻ってくるが3人は眠りこけている。)
良庵: 岩之助。 眠っているのか。 誘惑に負けないで、目を覚まして祈っていてほしい。さぁ、その時が近づいた。行こう。
(*弟子3人は戸惑いつつそれぞれ立ち上がろうとする。その時舞台下手から勇太郎登場)
勇太郎: 良庵先生、ご機嫌はいかがですか。 (*と近寄り、良庵の左頬にくちづける)
良庵: (*勇太郎の顔を覗き込むように)勇太郎。あなたは接吻で私を裏切るのか。
(*良庵が言い終わる間もなく客席後方から鬨の声。 鉢巻、たすき掛けの追っ手が十手、槍、刀、御用提灯などを手に、客席の間の通路を通って舞台に駆け上がる。)
追っ手: (口々に) 御用だ。 御用だ。 神妙にしろ
弥五郎: あっ。 ひぃ・・・。
(*弥五郎、腰を抜かしたまま這うように後ずさり、そのまま舞台上手に逃げ去る。
与八: あっ、兄者、まっ・・・待って。
(*与八も弥五郎のあとを、こけつつ追いかけて退場)
岩之助: (*上手をにらみつけ) 弥五郎、与八、逃げんのか!
(*追っ手、良庵と岩之助を取り囲む)
岩之助: (*刀の柄に手をかけ) 斉門岩之助、この命に代えデも良庵先生をお守り申ス上げる。 いのヂの惜スくねぇもんはかがってこい!(*刀を抜く)
追っ手の一番手 いゃあぁぁ!
(*以下、大立ち回り。 雑兵が次々岩之助にかかって行くが、岩之助、意外に健闘。 最後に最も腕の立ちそうな男が進み出て岩之助と一騎打ちとなる。殺陣。しばらく互角に戦うが、最後に岩之助が男の脳天に切りかかり、男かろうじてそれをかわす)
男: : うっ!(*刀を放り出し右耳を押さえる。 指の間から血糊が流れる。 岩之助、とどめを刺すべく刀を振りかぶる。 良庵、その腕を押さえ・・・)
良庵: 岩之助。 もうよい。 刀をさやに収めなさい。 剣を取るものは剣で滅びる。
(*そういいながら耳から血を流している男に歩み寄り、手を傷に当てる。 男から苦痛の表情が消える。それを合図のように、追っ手が良庵を取り囲み、両手と腰に縄をかける。)
(*良庵、追っ手に引かれて客席通路を通って後方に退場。岩之助、しばし抜き身を右手に下げたまま立ち尽くしているが、ふとわれに返ったように刀を鞘に戻し、追っ手が去っていった通路の途中まで駆け出す。 しかし一旦立ち止まり、きびすを返して舞台方向に戻りかけ、また振り返り再び追っ手の消えた方を背伸びをして伺う様子。 そんなことを繰り返し悩みつつあとを追って退場。 暗転。)
第四幕: 中庭
(*舞台中央やや上手寄りに、腰ぐらいの高さにかがり火。 数人の男が取り囲んで火にあたっている。時々舞台後方の壁の向こうの会話をさぐるような様子。)
(*女中、茶道具らしきものを持って舞台上手から登場、男らの前を通り過ぎて下手に向かいかけてから戻ってきて岩之助の顔を見る。 岩之助顔をそらすが、女中はそらした方へ回って歩いて行き、じっと顔を見る)
女中: あんたねぇ、さっきひっつかまって来た男の仲間だったろ?
岩之助: 何言ってんだがさっぱりわがんねが。
女中: あの那座蓮村(なざれんむら)の良庵とかいう先生と一緒に旅して回ってたじゃないサ。あたし覚えてるもん。
岩之助: 那座蓮村の良庵先生だぁ? そだら人(スど)のこだぁ、逢ったこどぁもヅろん、聞ぃだこともね。・・・スらねぇなぁ。
女中: だってあんた東北なまりじゃん。 那座蓮村の方から来たんだろ? んじゃ知らないわけないでしょ?ねぇ? (*と周りの侍に同意を求める。 侍、そういわれて岩之助の顔をじっと見る)
侍: ふむ。 言われてみればあんたの顔と声には思い当たる。 うん。確かに一緒にいたな。
岩之助: それぁ人違いってもんス。 わしはそんな良庵とかいう男のことぁ・・・
(*一瞬間をおき、一歩踏み出して見得を切るように)
全く、知らァねぇ。
(*それを聞いてかがり火の回りの侍と女中、騒ぎ出す)
侍たち、女中(*口々に): いたいた。 確かに一緒にいたよなぁ。 そうだそうだ。俺も見た。
岩之助: (*一段と声を張り上げ)聞いだごともねぇっって言っでるでしょうがぁ。
(*天を指差して)お天道様に誓っても、
(*一瞬言葉を切って) 良庵なんて奴はぁ、
ァ知らァねぇェなァァァ!(*大見得を切る。 その時・・・)
鶏: : コーケコッコーゥゥ。コーケコッコーゥゥ。
(*岩之助、はっと我に返り、仁王立ち。両肩に力が入り、腕がぶるぶる震えている。周りの侍、女中、不審そうに遠巻きに見ている)
岩之助(*腹の底から絞り出すような声で): あぁぁ。あぁあああああっ!
(* 岩之助、舞台下手にむかって駆け出す。 岩之助のみにスポット。 暗転してかがり火と侍、女中は上手に引っ込む。 岩之助は下手側ぎりぎりで立ち止まり胸を激しくこぶしで打ち叫ぶ。)
岩之助: あああああ。 あああああ。 あああああ。
(* がっくりひざから崩れ落ち、それから腕に顔をうずめて大声で男泣き。)
(*スポットオフ、暗い中に肩を震わせて泣く岩之助のシルエットのみ浮かぶ。 不安が高まるような音楽次第にフェードイン。 音楽がだんだん大きくなるにつれ、舞台背面の布スクリーンに、初めはぼんやりと、やがてくっきりと丘に立つ3本の十字架が映しだされる。)
(*音楽が最高潮に達し、大音響とともに十字架が映された布スクリーンが、裂けたように二つに分かれ、舞台に落ちる。同時に暗転。ここの暗い時間はすこし長めにとる。キリスト磔刑の暗示。)
第五幕: ガリラヤ湖畔
(*朝の湖と小鳥の鳴き声を連想させる静かなBGM。オーボエとフルートなどがよい。フットライトから徐々に明るくしてゆくと、下手奥の湖上に一艘の舟、できれば薄くスモークを這わせる。 舟の上に岩之助、弥五郎、与八。 上手には石で小さな炉がしつらえてあり、煙が上がっている。その脇に良庵が立っているのがぼんやりわかる。)
良庵: おーい。 何か食べるものは取れたか~?
弥五郎 いやー、今朝は全然ダメですわ。普段はこんなこたぁねぇんですが・・・。
良庵: それじゃぁ舟の右側に網を下ろしてみたらどうかねぇ~?
(*岩之助、弥五郎、与八、舟の上でぼそぼそ言い合っている)
与八: 右側に下ろしたらとか言ってますよ。
岩之助: だぁめに決まっでる。一ト晩中なぁ~んも取れんがったべや。
与八: ま、ダメもとで一回だけやってみっぺ。(*やる気なさそうに右側に網を投げる。と・・・)
与八: うぉっとぉ。 わぁ。 助けてくれぇ。(*網に引き込まれて舟から落ちそうになる。 岩之助、弥五郎、あわてて与八の体を支える。)
弥五郎: こらダメだ。とうてい引き揚げられるもんでねぇ。 おい与八、網は俺が押さえとくからお前は舟を漕げ。
与八: 合点。(*立ち上がって櫓を漕ぐと舟はゆっくり舞台中央に進む。 与八、櫓を漕ぎながらじっと目を凝らして良庵のほうを見ている)
与八: おい。 あれは良庵先生だ!
岩之助・弥五郎(*同時に振り向く): なにっ?
岩之助: (*舟のへりに片足を掛け、岸の方へ身を乗り出す) 本当だ。先生だ。(*喜色満面で弥五郎と与八のほうを振り向き、それから着物のすそをからげると舟から飛び出し、岸の方へ駆けてゆく。 水しぶきが上がるような音と演出。)
岩之助: せっ、先生!(*肩で息。 そのあとの言葉が続かない。 良庵はただじっと岩之助を見つめている)
(*弥五郎、与八岸に着き、舟から下りて良庵の前に立つ。 無言)
良庵: さあ、食事にしよう。 取れたものをすこし持っておいで。
(*与八、舟の脇の網から魚を何匹か持ってくる。 四人は炉を囲んで車座に。 やや間があって、良庵、魚の焼け具合を確かめた後、取って弟子たちに渡す。 弟子たち焼き魚にかぶりつく。 沈黙。しかし安らかな笑みが支配)
良庵: 斉門岩之助。この他の者たちが私を愛する以上に、あなたは私を愛するか。
岩之助: はい。私があなたを愛スているごとァ、先生、あなたがご存知でス。
良庵: 私の子羊の世話を、してやってくれ。
(*間)
良庵: 斉門岩之助。私を愛しているか。
岩之助: はい。私があなたを愛スているごとァ、先生あなたがよっぐご存知でス。
良庵: 私の羊の面倒を、みておくれ。
(*間)
良庵: 斉門岩之助。私を愛しているか。
岩之助: (*立ち上がり舞台中央へ歩き、顔を上げる。 泣きそうな顔)はい。私があなたを愛スているごとァ、先生あなたがいっヅばん、ご存知でス。なんで、なんで三度も。あっ・・・。(*突然何かに気づいた様子。たちまち岩之助の目から涙があふれる。あわてて涙を拭う)
良庵: (*良庵も立ち上がり、岩之助に近づく。 2人にスポット) 私の羊の世話を、しておくれ。 やがてあなたも、行きたくないところへ無理やり連れて行かれることになる。 だが、それでも私についてきてほしい。
(*岩之助、肩を震わせ、しゃくりあげる。 良庵その肩に手を置く。岩之助、良庵の目を見つめる。 暗転)
エンディング: (オフコース「時に愛は」)
(*良庵と弟子たちの回想シーンがスライドショウで映し出される)
ただ青くきらめいて うそのかけらもなく
遠ざかる日々たちよ ふたりを見ていたね
傷つくだけ傷ついて 立ちつくすふたりを
時に愛は力つきて 崩れ落ちてゆくように見えても
愛はやがてふたりを やさしく抱いてゆく
街はもうたそがれて 風は髪をゆらす
……あの頃より…… 愛しているみたい
走り来る日々たちよ 僕らは知っている
新しいいくつもの 嵐の訪れを
時に愛は力つきて 崩れ落ちてゆくように見えても
愛はやがてふたりを やさしく抱いてゆく
時に愛は力つきて 崩れ落ちてゆくように見えても
愛はやがてふたりを やさしく抱いてゆく
あなたは僕のことを 信じることに決めて
ただ黙ってなつかしく 僕を見つめている
=幕=