2017.4.16

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「最初の預言者」

秋葉正二

申命記19,15ルカ福音書23,56b-24,12

 皆さん、主の復活・イースターおめでとうございます。 今年のイースターは教会学校の皆さんも一緒で、本当に嬉しく思います。 イースターは皆さんも知っている通り、十字架で殺されたイエスさまが、三日目に生きかえり、復活されたことをお祝いする記念日です。

 イエスさまの復活を通して、私たちは命について考えます。 生きること、死ぬことには、神さまの力が関わっているのです。 実は、教会は年に一回のイースターだけでなく、毎週イエスさまの復活を記念しています。 それが日曜日の礼拝です。 なぜ日曜日に礼拝を守るかというと、きょう読んだ聖書のお話にその答えがあります。 週の初めの日、日曜日の朝、イエスさまが復活されたからです。

 日曜日の朝早く、女の人たちは準備しておいた香料を持って、イエスさまが葬られたお墓に行きました。 ユダヤの国のお墓は岩穴で、イエスさまの遺体もそこに納められました。 安息日には何もすることができない決まりがあったので安息日が明ける日曜まで待ったのです。 香料というのは、遺体に塗る良い香りのする油です。 女の人たちはイエスさまの遺体にせめて香料を丁寧に塗ってさしあげようと思ったのです。 でも行ってみると、入口をふさぐ石がわきの方に転がっていて、中は空っぽでした。 イエスさまの遺体はなかったのです。 女の人たちが困っていると、輝く衣を着た二人の人がこう言いました。 きっと神さまのお使いの天使でしょう。 『なぜ、生きておられる方を死者の中に捜すのか。あの方は、ここにはおられない。復活なさったのだ。まだガリラヤにおられたころ、お話しになったことを思い出しなさい…… 』。

 皆さん、ここでちょっと考えてみてください。 イエスさまにずっと従ってきた人たちの代表はペトロさんやヤコブさんたち、12弟子と呼ばれる人たちでした。 でもイエスさまが十字架につけられた時、彼らはそこにいませんでした。 怖くてどこかへ隠れていたのでしょう。 ところが、ガリラヤからずっとイエスさまの身の回りのお世話などをしてきた女の人たちは、十字架の時も逃げなかったのです。 彼女たちは、お墓に葬られるのもちゃんと見届けました。 敬愛するイエスさまが殺されて、本当に悲しかったことでしょう。 しかしお墓に行ってみると、お墓は空っぽでした。 聖書はイエスさまの復活がどのように起きたのかについては、何も語っていません。 ただ、イエスさまがすでに復活されてここにはいない、ということだけが書かれています。

 女の人たちはどんなに驚いたことでしょうか。 急いでお墓から帰り、お弟子さんや他の人たちにお墓であったことを伝えました。 でもお弟子さんたちは、その話をたわ言のように思ったと書いてありますから、「何を馬鹿なこと言っているの?」と思ったのですね。 ペトロさんだけは急いでお墓へ走って行って、お墓が空っぽだったことを確かめています。

 この聖書のお話を初めて読む人はたいてい「死んだ人が生き返るなんておかしいよ」と言います。 大人の人は科学的でないと言います。 でも科学的ってどういうことでしょう? 科学はあることを観察したり実験したりして、そこに一つの法則(きまり)を発見します。 でもイエスさまの復活の出来事は、そういうふうに科学の目標となるものではありません。 なぜかと言うと、それは過去において起こった一回限りの出来事だからです。 一回だけの出来事ならば、それは科学ではなくて、歴史の問題です。 その歴史を研究するときになくてならないものは、その出来事についての証言です。 証言というのは、ある出来事を自分で体験した人が、言葉でその事実を証しすることです。 ですから歴史を研究する人は、証人たちの言葉を正しいかどうか詳しく調べて結論を出します。

 さて、「奇跡なんてないよ」というのは自然科学の立場から言っても、人間の独断でしょう。 この世界には人間の知識をたくさん集めても説明できない不思議なことがあまりにも多いからです。 十字架と復活の出来事は教会の教えの中心ですが、この一番大切な出来事に最初に立ち会ったのが12弟子ではなく、数人の女の人たちだったことも驚きです。

 復活の最初の証人は数人の女性たちなのです。 神さまはなんで女の人たちを選んだのでしょう。 そこには私たち人間の思いをはるかに超えた神さまの計画があったとしか思えません。 イエスさまの復活は、人間を罪や死の支配から救うために、神さまが人間にプレゼントしてくださった最も大切な贈り物です。 私たちは自分が死んだら何も無くなってしまう、と絶望しなくていいのです。 イエスさまの復活は、私たち人間が神さまから永遠の命をいただけることを約束してくれます。 聖書にはきょう読んだ数人の女の人たちだけでなく、たくさんの復活の証人の話が記録されています。 ぜひ読んでみてください。  お祈りしましょう。
 

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