イースター家族礼拝 こどもたちへのメッセージ (2004・4・11)

「イエスは生きておられる」

廣石 望

ルカ福音書24,13〜35

I

イースターおめでとう。イースターは、イエスさまが神さまから新しい命をもらって、私たちに現われてくださったことをお祝いする日、神さまが小さなお花や虫たちや、私たちの命を守ってくださることをお祝いする日です。

U

イエスさまがどんな人だったか、教会学校のお友だちは、もう知っていますね。イエスさまは、仲間はずれにされた人たちのお友だちになりました。「うざい」「むかつく」「きたない」「しね」と言われて、きらわれていた人たちのところに行って病気をなおし、一緒にご飯を食べて、笑って遊んで、いっしょに眠り、その人たちのお友だちになったのです。そのときみんなは、となりの人の胸に耳を当てて、心臓の音を聞いて、「うふふ、生きてるね」って言い合ったんだと思います。みんなイエスさまのことが大好きでした。

イエスさまは泣いている子ども、おなかのすいた子どもがいると、「かわいいねぇ」と言ってだっこしました。先生もパパですけれど、ママのおなかの中に赤ちゃんがいるとき、だんだん大きくなってゆくおなかに耳をあてて、「トクトクトク」という小さな音を聞きながら「生きてるってすごい!」と思いました。

V

でも、イエスさまのしていることを好きでない人たちもいました。「あいつ、一人だけいい格好をして、人気者になろうとしてる」「自分が神さまみたいになろうとしたって、そうはいかないぞ」「わたしたちの方が強いんだぞ、あんな奴つかまえちゃえ!」。

いじめられているお友だちの味方をするのは、勇気がいるでしょう? ある人のインタヴューをテレビで見たことがあります。アメリカの人です。その人は子どものとき、学校からの帰り道、でぶっちょの友だちが、こわーい上級生からいじめられているのを見かけました。「何してんだ!」という声はのどまででかかったのですが、結局は「止めろよ!」と声をかける勇気がなくて、別の道を通っておうちに帰ったそうです。それでもそんな自分が恥ずかしくて悔しくて、「もう二度といじめられている友だちを見捨てたりしない」と心にかたく誓ったんだそうです。その人は大きくなっても、この決心を忘れませんでした。世界のどこかで人々が理由もないのにいじめられ、殺されているのを知ると、何度も何度も声をあげて言いました、「みなさん聞いて下さい。ひどいことが起こっています。あの人たちを見捨ててはいけません」と。その人の名前は、ノーム・チョムスキーといいます。

W

イエスさまのことが大好きで、イエスさまについていったお弟子さんたちも、イエスさまが捕まりそうになったとき、怖くなって逃げてしまいました。それで、イエスさまのことを助ける人が誰もいなくなってしまって、イエスさまは、「むかつく」「うざったい」「なまいきなんだよ」「しね!」と言われながら、髪の毛をひっぱられ、つばをかけられ、たたかれ、けられて、とうとう磔にされて殺されてしまいました。

お弟子さんたちは、怖くて悔しくて、泣きながら逃げました。イエスさまのお墓を見にいった女の人たちは、お弟子さんたちに、「イエスさまは生きておられる」という天使の言葉を伝えましたが、「そんなことあるわけないじゃん」と思ったんだそうです。心の中が真っ暗だったからでしょう。さっき読んだ聖書は、そのときのお話です。でもそのときに不思議なことが起こりました。

Y

イエスさまは、逃げてゆく二人のお弟子さんたちと、いっしょに歩いてお話してくれたのです。もっともそのとき、お弟子さんの眼はふさがれていたので、それがイエスさまだとは分からなかったと書いてあります。目の前にイエスさまがいて、いっしょにお話していても、それが誰だか分からないことがあるんですね。ふしぎなことです。

そして夕方になって、いっしょにご飯を食べたとき、イエスさまはパンをとり、「これはわたしだよ。みんなにあげるから、分け合って食べましょう」と言って、パンを裂きました。そのときお弟子さんたちは、「あぁ、イエスさまだ!」と分かったんですけど、分かったときには、もうイエスさまの姿は見えなかったそうです。これもふしぎなお話しですね。

お弟子さんたちは、どうしてイエスさまだと分かったのでしょうか。それは、イエスさまがお話してくれている間に、またパンを分け合っている間に、死んでしまったイエスさまは神さまの命の中で生きている、ということが分かったからだと思います。<小さな命を大切にしなさい。小さな命を大切に分け合う人は、神さまから大きな命をもらえるでしょう。小さな命は神さまの命につながっているのだから>、ということが。

だからお弟子さんたちは、もう泣きませんでした。もう怖がりませんでした。勇気を出して、「イエスさまは生きておられる」と言って、イエスさまに新しい命を与えた神さまを信じました。私たちも、イエスさまに従いましょう。



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