2014.6.15

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「神さまにつながっているわたしたち」

秋葉 正二

エフェソの信徒への手紙6,1

 きょうは「家族音楽礼拝」ですから、教会学校の皆さんとお父さんやお母さん、教会の人たち、みんなが一緒に礼拝を守っています。ふだんは教会学校の礼拝、大人の礼拝と別々ですから、こうしてみんなが一緒に礼拝を守ることができるのはとても嬉しい出来事です。さきほど読んだきょうの聖書のお言葉を思い出してください。『子供たち、主に結ばれている者として両親に従いなさい。それは正しいことです。』イエスさまの時代から、ずうっと二千年もこの言葉が伝えられていることは驚きです。でも実はイスラエルの人たちは、イエスさまの時代よりも、もっと昔からこの教えを守ってきたのです。それは「十戒」と呼ばれる教えです。十戒の戒は「教え、いましめ」ということです。「十戒」ですから10の教えです。「十戒」は旧約聖書の「出エジプト記」と「申命記」という書物に載っていますが、「十戒」の五番目にはこう書いてあります。『あなたの父母を敬え。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる。』この教えは、子供達だけでなく、大人への教えでもありましたから、イスラエルのお父さんやお母さんたちも大切に守ったのです。つまり、イスラエルのお父さんやお母さんは、おじいちゃんやおばあちゃんを大切にしたということです。このイスラエルの人たちの「十戒」を大切に引き継いで、イエス様から始まった教会の人たちもしっかり守りました。そういう昔からの教えが、今の時代の教会にもちゃんと伝わっているのですから、よっぽどこの教えは重要なのでしょう。

 きょうの聖書には「両親に従いなさい」って書いてあったけど、これは両親を敬うこととつながっている言葉です。たとえばですね、皆さんが幼稚園や学校に行くときに、毎日お母さんから「ぐずぐずしないで早く支度しなさい。忘れ物はない?」と怒られたり、お父さんから「こらッ、遊んでばかりいないで勉強しなさい」って言われている人がいるとしたら、「お母さんやお父さん、どうしていつも怒っているのかなァ、両親に従うなんていやだなァ」と思っているかもしれません。でもお父さんやお母さん、あるいはおじいちゃんやおばあちゃんが病気になったり、怪我をしたりして入院してしまったとしたらどうでしょう? やっぱり心配ですよね〜。怒られることがあっても、家族みんなで一緒に食事ができたらいいなァ、と思うのではないでしょうか。

 さて、ここで僕たち私たちと、お父さんお母さんの関係についてもう一度考えてみることにします。教会学校の皆さんに「どうしてここに自分がいる」のか考えてもらいたいのです。僕にもお父さんお母さんがいますが、もう天国に行ってしまって直接話をすることができません。でも僕も子供の時にいろいろ怒られたことを覚えています。皆さんと同じです。で、僕が言いたいことは、私たちの命は誰でもお父さんお母さんから与えられたということです。そして、お父さんお母さんの命もそのまたお父さんお母さんから与えられています。ちょっと分かりにくいかも知れませんが、皆さん自分のこととして考えてみてください。お父さんお母さんは二人、お父さんの両親とお母さんの両親で四人、つまり皆さんの3代先のおじいちゃんとおばあちゃんは4人です。そのようにして両親を2代先、おじいちゃんおばあちゃんを3代先というふうに遡って計算していくと、11代先は何と1,024人になりました。200年から300年くらい前になるかな……江戸時代だね。同じように21代前まで遡ると、何と1,048,576人になりました。500年くらい前になるでしょうか。室町時代くらいかな。つまり500年くらい前に遡るだけで、この私の命に関わっている人たちが百万人以上になるのです。すごいと思いません? 「お父さんお母さんと私」という関係が「命」の初めからずっととだえることなく続いてきたから、今「私」がここにいるのです。

 皆さんはご両親のことを何て呼ぶのかな? パパとママかな、それともお父さんお母さんかな。イエスさまは、お祈りする時に父なる神様にどんなふうに呼びかけたらよいか教えてくれています。「アッバ」と言うんだけど、日本語にすると「おとうちゃん」が一番近いかな。親しみを込めて「おとうちゃん」と神様を呼んでいいんだよ、というのです。なぜ親しみを込めて呼びかけていいかと言うと、神様こそが、すべての人を愛して、その人間に命を与えてくださったお方だからです。もちろん「おかあちゃん」と神様を呼んでもいいのです。神様は私たちの命の源で、父であり母であるお方だからです。ですから、聖書は「両親に従いなさい」という前に、ちゃんと「子供たち、主に結ばれている者として」と言われています。

 私たちとお父さんお母さんのつながりは、神さまにまで遡ってつながっているのです。本当に不思議です。だから「命」は大切にしなければなりません。戦争なんかして、命を失ったりしたら、それは神様が一番悲しまれることにちがいありません。さあ、ここにいるみんなで一緒にお父さんお母さんに感謝しましょう。「お父さん、お母さん、私を僕を生んでくれてありがとう!」この気持ちを大人になっても忘れないようにしたいですね。『子供たち、主に結ばれている者として両親に従いなさい。それは正しいことです。』お祈りしましょう。

祈り:この世のすべてのものをお造りになった神さま、私たちはきょうお父さんお母さんと一緒に、また大人の皆さんとも一緒に、礼拝を守ることができてとても嬉しい気持ちです。私たちはそれぞれ「お母さん」や「お父さん」のことを思いますが、どのように「私の命」が与えられたのか、その命をどのように生きていくのか、これからしっかりと考えていくことができるようにお導きください。このお祈りをイエス様のお名前によってお捧げします。アーメン


 
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