敗戦後60年を覚えて

アジア・太平洋戦争での日本の敗戦から60 年経ちました。その後、日本のキリスト教各教団・団体は、自らが戦争に加担しキリスト者の責任を放棄した罪を告白し、神と隣人に赦しを請いました。しかし、敗戦後60 年の今日、私たちは日本がいまだに真の悔い改めをなさず、進む方向を変えていないことに気付き、そのような社会を作ってきた怠慢の罪を告白します。

天皇の戦争責任を明確に追求しないままに、1952 年4 月28 日、日本はサンフランシスコ条約発効により占領から「独立」しました。同時に、旧植民地から連行された人々は外国人登録法と出入国管理令の管理下に置かれました。同じ日に日米安全保障条約が発効し、それを支える米軍基地の大部分は沖縄に置かれました。

この出発が、その後の日本の歩みを決定しました。日本は米国の軍事力に安全を託し、米国と一緒に戦争のできる国を目指してきました。米国の覇権主義に従い、他国を貪り利益を得てきました。アジアの一員であることを忘れ、「日本人」以外の人を排除し管理する閉鎖的な社会を作りました。過去の軍国主義と植民地主義の過ちを正当化する論調が復活しています。この結果、日本社会は、モノにあふれていながら、自然環境は破壊され、住みにくく希望を持ちにくい社会となっています。特に、社会の隅に追いやられた人々の苦しみは深刻です。

敗戦後60 年にあたり、私たちは、もう一度、日本の進む方向を変え、非暴力に徹し、和解と共生の社会を目指して働きたいと願います。

私たちの進む道は厳しいものになると予想されます。しかし、私たちは、すべてが神の導きの 下にあることを信じます。命にいたる道は狭いとの言葉に希望をかけ、永遠なるものに目を向け、真実な神の声に聞き従って進んでいきたいと願います。 私たちの歩みを神が支え、近隣諸国の友が見まもり導いてくださるよう心から祈ります。

2005年8月
日本キリスト教協議会
議長 鈴木伶子
総幹事 山本俊正

* 「日本キリスト教協議会」(NCC)発表資料より転載しました。 原文はPDFファイルです。



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